コールセンターのFAQソフトを売っていた時のことです。「ソフトのデモが見たい」というお問い合わせがありました。しかし問い合わせて来られたのはコールセンターとは縁のない「 資材課」という部署でした。そこで私は素朴な質問をしてみました。
「あの、コールセンターをご検討中されているのですか?」
「いいえ」、という回答に私はますます意味が分からず、 質問を重ねました。
「では、 このソフトはどのような目的でご利用になられるのでしょうか?」
「ナレッジですよ」担当者は嬉しそうに、答えて下さいました。
その会社は工事会社で、 管理されている倉庫の中には工事に使うさまざまな種類の資材が保管されていています。 工事の場所や目的ごとに使う資材が異なるために素材や大きさなどのバリエーションがとても多いのです。 当然、資材のデータベースがあって、品番検索はできるのですが「 どの場合にどの資材が一番適しているか」は担当者の経験に頼っておられました。
経験豊富な担当者だとすぐに最適な資材を選べるのだが新人だと難 しい。
「誰でも最適資材を見つけられる」 そういう経験者のナレッジを蓄積するソフトを探しているのだ。というのがご担当者様のお答えでした。
まさに、眼から鱗が落ちました。
販売していたのはコールセンターのオペレータ向けFAQソフトで すが、それをナレッジソフトとして使おうという発想が私にはありません でした。
初めてのお客様、 特に今までとは属性の違うお客様の問合せを受けた時には「お問合せの商品をどのようにご利用にされるのか」 を質問してみて下さい。
売る側が気付かない意外な使い途や、 新たな発見をお客様がなさっている場合があります。
お聞かせいただいた利用目的を他のお客様も持っておられるかも知 れない。そういう風に考えてみましょう。それが『二匹目のどじょう』 です。
この資材管理の営業をさせて頂いたお陰でこのソフトはその後「 営業手順の管理」「工場での作業手順管理」としても販売できたのです。
もし、 資材の話がなければこれらの提案できていなかったと思います。
お客様のお問合せ理由を元にして、 新しい商品提案を作ってみましょう。
今まで見えていなかった販路・販売の可能性が広がり、 ターゲットが増えていきます。